

治療について
decide
治療方針の決め方
円形脱毛症の治療は、日本皮膚科学会で作成された診療ガイドラインをもとに進められています。
診療ガイドラインとは、世界中で行われている最新の医学研究の成果に基づいて、最良と考えられる検査や治療法などを提示する文書のことです 。
また、診療ガイドラインは、患者さんと医療者を支援する目的で作成されており、意思決定の際に、判断材料の1つとして利用されることがあります。ただし、患者さんそれぞれで状況は異なりますので、最終的な判断は、患者さんと主治医が協働して行います。
- 日本製薬工業協会 健康医療データの用語集 診療ガイドライン
https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/kenkou_iryou_data/detail_15.html
(2025年4月閲覧)
strategy
診療ガイドラインで定められている治療方針
円形脱毛症の治療方針は、以下3つの要素に沿って考慮されますが、最終的には患者さんやご家族の希望、医師の判断などに基づいて決定されます。
- ①年齢
小児から成人にかけて、対象となる年齢を考慮します。治療法によっては、安全性などの理由から小児に行わない方がよいとされている治療法もあります。 - ➁重症度
頭部の脱毛面積によって分けられます。頭部全体の脱毛面積が25%以上(1/4以上)ある場合は重症と診断されます。 - ③病期
急性もしくは慢性のどちらかを考慮します。
円形脱毛症の治療方法を
知りましょう
主な治療方法には、外用療法(ぬり薬)、注射療法(局所注射、点滴)、内服療法(飲み薬)等があります。
External
外用療法(ぬり薬)
ステロイド外用療法
抗炎症作用のあるステロイド外用薬をぬる治療方法です。
血行促進作用のある
外用薬をぬる治療方法
血液の流れをよくする外用薬をぬる治療方法です。
局所免疫療法 ⁎1
かぶれを起こす物質をぬる治療方法です。
injection
注射療法(局所注射、点滴)
ステロイド局所注射療法 ⁎2
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを、脱毛斑に注射する治療方法です。
ステロイドパルス療法 ⁎3
短期で大量のステロイドを点滴する治療方法です。
internal
内服療法(飲み薬)
ステロイド内服療法 ⁎3
抗炎症作用のあるステロイド内服薬による治療方法です。
JAK等の特定の分子を
標的とした薬の内服療法
炎症の原因となる物質(サイトカイン)の伝達を阻害する内服薬による治療方法です。
その他の
内服療法
その他に紫外線療法 ⁎2等もあります。
- 保険収載されておらず、限られた医療機関において、患者さんの同意を得たうえで行われる治療方法です。
- 「円形脱毛症診療ガイドライン2024」1)では、小児には原則行わないと記載されています。
- 「円形脱毛症診療ガイドライン 2024」1)では、短期的に使用するとされ、また小児には原則行わないと記載されています。
- 大山学ほか:円形脱毛症診療ガイドライン2024, 日皮会誌 134(10):2491. 2024
shampoo
円形脱毛症は市販薬・シャンプー・育毛剤で治りますか?
自己流の治療法を試すことで完治までの時間が延びたり、悪化してしまうこともあります。一人一人に合った治療を行うためにも、「円形脱毛症かな?」と思ったら早めに病院を受診することが重要です。
Hospital
円形脱毛症は病院に行くべき?
放っておくとどうなりますか?
抜け毛の範囲が狭い場合は、自然治癒することもありますが、何度も再発したり徐々に多発、範囲が広がったりするような場合には、早めに診察を受けましょう。
特に、急激に頭部全体に毛髪が抜けてきたときには、早期の治療が大切なケースもあります。
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 脱毛症
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa11/q12.html
(2025年4月閲覧)
department
円形脱毛症は何科を受診すべきですか?
診察する機会が多く、専門的な知識をもつ医師の多い皮膚科を受診するとよいでしょう。専門医にみてもらうことで、場合によっては原因を突き止めることもできます。お住まいの地域に皮膚科がない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
cost
円形脱毛症の治療はいくらかかりますか?
2021年に行われた日本国内での医師および患者さんへの質問票に基づいた研究 ⁎ では、円形脱毛症患者さんの薬剤費負担(処方薬)は、毎月平均4,263円と報告されています。⁎ 皮膚科専門医50例および担当の円形脱毛症患者さん235例を対象とした研究である。医師は、疾患の重症度などに関する質問票に回答し、患者さんは円形脱毛症関連費用に関する質問票や仕事の生産性と活動障害に関する質問票に回答した。
- Ohyama, M. et al.: J Dermatol 50(10):1246-1254, 2023